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教育資金贈与の特例制度が終了 今後は「都度贈与」への原点回帰が重要に

                                                                       掲載日2026年7月23日

令和8年度税制改正により、「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置」は、2026年(令和8年)3月31日をもって新規適用が終了しました。これまで何度か適用期限が延長されてきましたが、今回は延長されず、2026年4月1日以降に新たに信託や専用口座への預入れなどを行っても、この特例を利用することはできません。教育資金を子や孫へ援助したいと考えている方は、今後の贈与方法を改めて検討する必要があります。

教育資金贈与の特例制度とは

この制度は、祖父母や父母などの直系尊属が、30歳未満の子や孫へ教育資金を一括して贈与した場合に、一定の要件の下で最大1,500万円まで贈与税を非課税とする制度です。平成25年度税制改正で創設され、高齢世代が保有する資産を若い世代へ移転するとともに、教育や人材育成を支援することを目的として利用されてきました。

制度を利用するためには、金融機関等との間で教育資金管理契約を締結し、教育費として支払ったことを証明する領収書などを提出する必要がありました。また、教育資金として使い切れなかった残額については、契約終了時に贈与税の課税対象となる場合があります。贈与者が契約期間中に死亡した場合にも、一定の管理残額が相続税の課税対象となることがあります。

なぜ制度は終了したのか

財務省の令和8年度税制改正の解説では、制度創設時と比べて近年の新規契約数が大きく減少していることや、多額の資産を有する親や祖父母を持つ若年層に利用者が偏り、「格差の固定化」を助長する懸念があることなどが指摘されています。

また、祖父母や父母などの扶養義務者が、教育費として通常必要と認められる費用を必要な都度負担した場合には、もともと贈与税が課税されない取扱いがあります。近年、教育費の無償化や負担軽減措置も拡充されていることなどを踏まえ、特例の適用期限は延長されないこととなりました。

なお、2026年3月31日までにこの制度の適用を受けて取得した信託受益権や預金等については、制度終了後も従来どおりの課税関係が維持されます。既に制度を利用している方の契約が、2026年3月31日に一律で終了したという意味ではありません。

今後は教育費を必要な都度援助する「原点回帰」へ

教育資金贈与の特例制度が終了したことにより、今後の孫への教育資金の援助は、教育費が実際に必要となった時に必要な金額を支払う、いわば「原点回帰」の方法が中心になると思われます。

制度が終了したからといって、子や孫の教育費を援助できなくなったわけではありません。扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産のうち、通常必要と認められるものについては、贈与税が課税されません。ただし、数年分の教育費をまとめて渡し、その金銭が預金として残った場合や、教育以外の目的に使われた場合には、贈与税の課税対象となる可能性があります。

祖父母の中には、「孫へ直接多額のお金を渡すのは不安」「若いうちから大金を持たせたくない」と考える方も多いと思います。そのような場合には、教育機関などからの請求内容を確認し、実際に必要な費用だけをその都度支払う方法が安心です。

大学の入学金や授業料を援助する場合

大学の入学金や授業料については、大学から発行された請求書や納付書を祖父母が確認したうえで、祖父母から大学へ直接振り込む方法が考えられます。孫の口座を経由する場合でも、請求額と同額を入金し、速やかに大学へ支払うようにすれば、資金の目的が分かりやすくなります。

支払後は、大学からの請求書、振込記録、領収書などを保管しておくとよいでしょう。いつ、誰の、どの教育費を負担したのかが確認できる状態にしておくことが重要です。

留学費用を援助する場合

留学費用についても、大学の授業料などと同様に、留学先の学校や教育機関、留学あっせん会社などからの請求書を確認し、実際に必要となる金額のみを送金する方法が考えられます。

留学費用には、授業料のほか、渡航費、教材費、現地での住居費などが含まれることがあります。何にいくら必要なのかを確認し、請求書や契約書、送金記録を保管しておくことが大切です。教育費とは関係のない観光費用や娯楽費までまとめて負担した場合には、その全額が当然に非課税になるとは限らないため注意が必要です。

一人暮らしのアパート代を援助する場合

大学への進学などに伴い孫が一人暮らしをする場合には、毎月の家賃相当額だけを渡す方法や、祖父母が大家や管理会社へ直接振り込む方法が考えられます。一度に数年分の家賃をまとめて渡すのではなく、実際に支払いが必要となる都度、実額を負担することが基本です。

家賃以外の生活費についても、通常の日常生活に必要な範囲で、その都度負担することが大切です。将来の生活費として多額の資金を一括して渡し、孫の口座に預金として残っている場合には、非課税となる生活費や教育費ではなく、通常の贈与と判断される可能性があります。

請求書や領収書を保管しておく

教育費を必要な都度負担する場合には、支払いの根拠となる請求書、納付書、領収書、振込記録などを保管しておくことをおすすめします。法律上、すべての都度贈与について特別な届出が必要になるわけではありませんが、後から資金の使途を確認する必要が生じた際に、教育費として支払ったことを説明しやすくなります。

また、教育費と併せて暦年贈与などを行う場合には、どの送金が教育費で、どの送金が通常の贈与なのかを区別して記録しておくことも重要です。送金日、金額、支払先、支払目的を一覧にしておくと、ご家族間でも内容を共有しやすくなります。

制度終了後も教育資金の援助は可能

教育資金の一括贈与に関する非課税制度は終了しましたが、教育資金の援助そのものができなくなったわけではありません。今後は、大学の入学金や授業料、留学費用、進学に伴う家賃などについて、実際に必要となった金額を必要な時に負担する方法が基本となります。

一括して大金を渡さず、請求内容を確認して実費だけを支払う方法であれば、資金が教育以外に使われる心配も少なくなります。教育費の援助は、制度終了を機に、必要な費用をその都度支払うという本来の形へ戻っていくものと思われます。

一方、生前贈与には暦年課税や相続時精算課税など、教育資金の都度負担とは異なる制度もあります。それぞれ課税関係や相続税への影響が異なるため、教育費として負担するものと、財産を移転する目的で贈与するものを区別し、ご家族の状況に合った方法を検討することが大切です。

※本記事は、財務省「令和8年度税制改正の解説」に基づいて作成しています。個別の支出が非課税となる教育費または生活費に該当するかどうかは、支出の目的、金額、支払時期その他の事情により異なります。

 

(2026年7月記載)

 

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